「有形文化財を守りたい」「ペットを保護したい」「観光業で地域を活性化したい」などなど、クラウドファンディングは投資家(支援者)から資金を集める手段として定着しつつあります。とはいえ、「クラウドファンディングで支援したいけど、難しそう」という声が多いのも事実。そこではじめての人に向けてクラウドファンディングを解説いたします。
クラウドファンディングとは?
クラウドファンディング(crowdfunding)とは群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語です。インターネットを通して夢や活動内容を伝え、そうした想いや目的に共感した人たちが支援・応援という形で資金を提供する仕組みです。支援者たちは、資金を提供する代わりに、活動者が提供するサービスや商品・製品をリターンとして受け取ることができます。
今では、貧困救済やテクノロジーを活用した新製品や新サービスの開発、歴史的建造物の保全、地方創生につながる新事業や施設建設などなど、幅広いプロジェクトが実施されています。
インターネット上でやりとりがされるために、新たな手法のイメージが強いクラウドファンディングですが、「資金を募り、実現させる」という手法は、昔から存在しています。
例えば、日本では古くからお寺の造営や修復のために、寄付を求めてきました。キリスト教の教会も同じですね。スペインのサグラダファミリアも多くの支援者からの寄付で建設が続けられています。
つまりは、「人のため、世のため」という考えに共感した人たちが、ファンになり、それを支えるという構図ですね。
これまで多くの資金集めは、リアルな現実社会で行われてきましたが、インターネットの普及に伴い、WEBサイト上に支援を求める人と支援する人とをマッチングさせる仕組みが生まれたのがクラウドファンディングです。
ネット上であれば、より多くの人に支援情報を伝えることができ、支援の輪を広げることが容易になったため、日本でも徐々に広まりつつあります。また、そうした仕組みを取り入れ、支援者が支援しやすくなるWebサイトを開設するサービス企業が増えたことで、よりクラウドファンディングの浸透を促しています。
クラウドファンディングの歴史的には、2000年代にアメリカやイギリスではじまり、日本には2011年3月にREADYFOR(レディーフォー)が日本初のクラウドファンディングサイトをオープンさせたことで上陸しました。その後、CAMPFIRE (キャンプファイヤー) やMAKUAKE(マクアケ)といった複数のサービスサイトが開設され、国内でもクラウドファンディングの認知が広まりつつあります。
ちなみに、2021年度の国内クラウドファンディング市場規模は、新規プロジェクト支援額ベースで前年度比11.1%減となる1,642億2,100万円でした(矢野経済研究所調べ)。2020年度に比べて低くはなりましたが、 2022年度はそれを上回る成長を遂げることが予想されています。
クラウドファンディングの種類
ここからは、クラウドファンディングの種類について解説します。まずはクラウドファンディングにはいくつかの手法があります。
購入型クラウドファンディング
購入型とは、支援を求める実行者が、支援者に対してリターンとして、商品・製品といったモノのほかに、体験やサービス、権利などを販売することができます。実行者は個人、企業、団体など多岐に渡ります。支援者は実行者の支援目的に共感して、支援した見返りをモノやサービスといった様々なリターンを受け取ることができます。タイトル通りに気に入ったモノやサービスを購入する感覚ですね。
寄付型クラウドファンディング
寄付型は、行政や公的機関などの公益的な活動を行っている団体が活用するクラウドファンディングです。ガバメントクラウドファンディングとも言われ、実行者である行政機関や団体は目的に対して「寄付金」という形で受け取ることができます。支援者にとっては、寄付のリターンとして税制優遇を受けることができます。ふるさと納税と組み合わせた形も多く、例えば、「○○村に子どもの施設を建てたい」という支援へのリターンとして、○○村の特産品を返礼すると同時に税制優遇もします」という流れとなります。
金融型クラウドファンディング
金融型は、言わずもがな株式発行やファンドのしくみを利用した投融資資金を募る手法です。証券業界では一般的な手法で、将来の値上がりを期待して会社の株式を取得したり、取得した株の配当やファンドの運用益の分配を受けられる可能性があります。
最後によく出る疑問の「プロジェクトの目標金額に届かなかった場合はどうするんですか」にお答えしましょう。
プロジェクトには、募集期間と目標金額設定されています。これはわかりやすく2通りです。
目標金額を達成したプロジェクトのみが資金を受け取ることができ、仮に未達成の場合は、支援者に全額返金されます。
一方で、目標金額に届かなくても資金を受け取ることもできます。この場合は、必ず実行者はプロジェクトの実施を確約しなければいけません。ただ、何年も「まだ未達成なのでリターンを待ってください」というわけにはいきませんよね。
クラウドファンディングでできること
ここで改めてクラウドファンディングのメリットをご紹介します。
メリット① 資金調達ができる
何かをはじめたい。何かを守りたい。何か人(地域)の役に立ちたいと思っても、実現するにはお金がかかります。そんな時こそ、クラウドファンディングの力を借りましょう。
メリット② 広報・PRができる
クラウドファンディングサービス会社では、効果的な見せ方や読ませ方など、マーケティングを取り入れています。また、ご自身の“やりたい”を表現して共感者を増やすことで広報・PRが自然にできます。
メリット③ テストマーケティングができる
Web上では支援者からのコメントやメッセージのやりとりが発生します。そうしたコミュニケーションを通じて支援者との交流が活発化することで、ユーザーニーズを知ることにも繋がります。集まった生の情報を商品やサービス改善に活用できるとともに、プロジェクト以外の分野で交流が進み、気づけばロイヤルカスタマー(ファン)にも繋がります。
クラウドファンディングの支援の流れ
支援することで得られるリターン
クラウドファンディングで大切なことは、多くの人にプロジェクトの意義を伝え、共感を抱いてもらい、支援者になってもらうことですが、支援者が思わず購入したくなるような魅力的なリターンを設計することも大事です。
例えば、クラウドファンディングではプロジェクト公開直後の1週間以内にどれだけの支援者を集められるかが、プロジェクト成功への近道と言われています。そこで、プロジェクトの公開直後から支援者に購入を促すためには、早期購入者に対する限定の特典や数量限定の割引などが効果的と言われています。
あとは、ふるさと納税のように地域の特産品を全面に押し出すことも大切です。地域の特産品であれば、プロジェクトへの興味が弱くても、ふるさと納税と同じ感覚で支援を決める人がいるからです。では、実際にどういったリターンがあったのかご紹介しましょう。
【ロケットを飛ばすプロジェクト】
ロケット開発を行うインターステラテクノロジズ株式会社(北海道十勝大樹町)が、ロケットの打ち上げを目的にクラウドファンディングを行いました。
リターンは「報告書」や「打ち上げ参加権」など、唯一無二の情報や権利を揃えました。宇宙に関する情報や目の前でロケット打ち上げを見れることは希少です。最終的には目標金額を超えた2,800万円以上の資金調達に成功しています。
【ゲームソフトの開発】
株式会社エクスペリエンスが人気シリーズのソフトを開発するために、クラウドファンディングにて資金を調達しました。
ソフトが、「PlayStation 4」や「Nintendo Switch」といった人気プラットフォームで使用できることもあり、公開前から注目を集めるだけでなく、リターンの「実況配信優先権」や「特製収納BOX」などゲーム会社にしかできない権利や商品が人気を呼び、目標金額1万円に対し、1,379万円の資金調達に成功しています。
【村の地方創生のための施設建設】
北海道・十勝の魅力をより多くの人に知ってもらいたい!という思いを込めた中札内村のふるさと納税型クラウドファンディングです。
十勝を訪れる方や、十勝に住みたいと思っていただける方を増やすため、空港から車でわずか15分の場所にあるリゾート施設フェーリエンドルフの敷地内に、温泉施設を建設するというもの。
近隣市町村の方も日常的に使える施設でありながら、高級コテージやグランピング施設も隣接していることもあり、北海道内外からのキャンパーや旅行客が利用できる観光名所にもなっています。
ふるさと納税型なので、施設利用券や宿泊券のみならず、十勝の特産品を多数揃えるとともに、中札内村で誕生した新たな商品・サービスが並びます。当然ながら自治体主導のクラウドファンディングなので、税制優遇も受けられるので、共感度とお得度の高いプロジェクトで、2022年8月時点(締切12月31日)で、1億円の目標に対して3,000万円の資金調達を受けています。
十勝の空の玄関口に“エアポートスパ”建設! ~「なぜ十勝」を「だから十勝」に~
皆さん、クラウドファンディングのことをご理解いただけたでしょうか。プロジェクトから選ぶか、それともリターンから選ぶかは皆さんの自由です。新たなご縁となるのが、クラウドファンディングの良さでもあります。是非とも、新しい接点を繋いでみてはいかがでしょうか。
以下をクリックして中札内村/十勝エアポートスパ!を応援してください。