ガバメントクラウドファンディンとは?ふるさと納税や普通のクラウドファンディングとどう違うの?

ふるさと納税やクラウドファンディングを知っている人は多いでしょうが、自治体が自ら主体となって寄付を募り、所得税や住民税といった納税控除が受けられるガバメントクラウドファンディングをご存知の方は少ないはず。違いやメリットなどを解説します。

ガバメントクラウドファンディンとは?

ガバメントクラウドファンディングとは

ガバメントクラウドファンディング(GDF)という、耳慣れぬ制度をご存知でしょうか。インターネットで検索するとガバメントクラウドファンディングとは、日本最大級のふるさと納税サイトの「ふるさとチョイス」がふるさと納税制度を活用して行うクラウドファンディングだそうです。

GDFの仕組みは、ふるさと納税制度を利用したクラウドファンディングのひとつで、地方自治体が特定の目的のために出資を募る制度です。ふるさと納税制度を利用しているため、寄附者は寄附金の金額に寄附金控除が適用されるほか、すべての寄付がふるさと納税の対象となり、自治体に寄附をすると、寄附した人の所得税と住民税から寄附金額に応じて一部が軽減(控除)されるという仕組みなっています。

つまりは、地方の自治体が抱える様々な問題解決のために、地方自治体が自ら、ふるさと納税の寄付金の「使い道」を示し、プロジェクト化して、そのプロジェクトを多くの人に知ってもらい、共感した方から寄付を募るというものです。

ある自治体に寄付したAさんは「地元自治体の課題解決に、自分の意思を反映することができるので、選挙よりもプロジェクトに参加した感じがするので応援し甲斐があります」と話します。

少子高齢化で課題解決力の低下に喘ぐ地方自治体にとっては、自ら応援団を募り、地域活性化策を具現化する最終手段のようなものでしょうか。ガバメントクラウドファンディングの浸透は、日本全体の課題解決への糸口になるかもしれません。

ふるさと納税とどう違うの?

前述では、ガバメントクラウドファンディングについて解説しましたが、そもそも、ふるさと納税とはどう違うのでしょうか。

先ずは、ご存知!ふるさと納税から説明しましょう。ふるさと納税制度は、厳密には寄付の一種で、日本の税制の寄付金控除を活用した制度。

すでに活用したことのある人はおわかりでしょうが、ふるさと納税とは、国民(みなさん)が好きな自治体(都道府県や市区町村)を選んで寄付ができる制度で、都市部への人口流出による過疎化で税収が減少している地域と、人が増えていった都市部との地域間格差を是正することを目的として作られました。

前述のとおり、ふるさと納税は「寄付金控除」という制度を活用しています。所得税では寄付金分の所得控除が、住民税では税額控除が適用され、特に軽減効果が大きいのが住民税の税額控除だそうです。

ただ、実際には利用者の多くが、ふるさと納税による税額控除というメリット以上に、自治体が用意する納税者への返礼品が目当てという方が多いでしょう。返礼品には、地元の特産品や工芸品のほか、さまざまなサービスを受けられる権利など、旅行にいかずとも手に入る商品・サービスを目当てに納税する人も多いはずです。

ちなみに、ふるさと納税を利用している人は年々増加しており、2021年度のふるさと納税の控除適用者は全国で約406万人に達したそうです。

国内最大級のふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンク(東京都渋谷区)によると、2021年度の控除適用者数は約552万人。昨年から約1.3倍、この5年では2.4倍に増加してします。

増加の背景には、ふるさと納税の利用率の向上や、ふるさと納税ポータルサイト参入企業の増加、返礼品の拡充があげられます。

また、新型コロナが流行してからというもの、ふるさとチョイスで検索されたワードは「マスク」「キャンプ」「アウトドア」など、日用品のほか、密にならないことで流行った行動などもランクインしています。

ちなみに、22年上半期と前年同期の寄付金額伸び率を比較して、最も伸び率が大きかったものは「美容」で、注いで「イベントチケット」、「旅行」と続いたそうです。2022年は、新型コロナの影響で自粛されていた旅行が解禁・緩和されたことでの反動が強く、コロナ前の19年に比べて1.8倍以上伸びると予想されています。

寄付先の選び方や税制優遇は?

さて、こことでふるさと納税の仕組みをおさらいしてみましょう。ふるさと納税は、本来は住んでいる自治体に納めるはずの税金を、任意の自治体に寄付することで、住民税や所得税が控除される仕組みです。

ふるさと納税で「寄付金控除」が最大限に適用される寄付金の控除上限額は、年収や家族構成、お住いの地域などによって異なります。控除を受けられる上限は納税額によっても異なり、控除される金額は寄付金から2,000円を引いた金額と決められています。

利用する際は、先ずは自身の控除上限額をきちんと把握しておきましょう。自己負担2,000円のみで効率的にふるさと納税が行えるからです。ちなみに、控除分はその年の所得税から還付され、翌年の個人住民税から控除されます。

例えば、年収500万円の独身の方が、5万円分のふるさと納税をした場合、控除される税額は5万円-2,000円 =4万8,000円となります。

  • 【家族構成】
    • 独身又は共働き
      ふるさと納税を行う方が独身、または配偶者に201万円以上の所得があり、ふるさと納税を行う本人が配偶者控除・配偶者特別控除の適用を受けていない場合
    • 夫婦
      ふるさと納税を行う方の配偶者に収入がなく、ふるさと納税を行う本人が配偶者控除の適用を受けている場合
    • お子様
      中学生以下(中学生以下のお子様は控除額に影響なし)
      高校生(16~18歳の扶養親族)
      大学生(19~22歳の特定扶養親族)

    ※表はあくまで目安であり、正確な計算は寄付翌年1月~2月にお住まいの市町村にお尋ねください。
    ※表は給与所得の方に対応しています。事業所得や不動産所得等がある方には対応していません。
    ※所得控除については、社会保険料控除、基礎控除・配偶者控除・扶養控除が含まれています。生命保険料控除、地震保険料控除、住宅ローン控除、医療費控除など、その他の控除は考慮されていません。

    事例紹介!どんなガバメント(地方自治体)が使っているの?

    ガバメントクラウドファンディングについて、おわかりになりましたでしょうか。ここからは、実際に自治体が行ったガバメントクラウドファンディングをご紹介します。

    【神奈川県川崎市】
    市制100周年に向けた白黒写真カラー化に挑戦!

    概要:
    令和6年に迎える市制100 周年に向けて、川崎市のことをもっと知ってもらい、身近に感じてもらうため「川崎市の100 年」(いき出版)に掲載された白黒写真をはじめ、さまざまなまちの白黒写真のカラー化に挑戦をします。

    目標金額:100万円

    【新潟県妙高市】
    日本最北限、最小の個体群「火打山のライチョウ」を救いたい!

    概要:
    妙高戸隠連山国立公園の火打山山頂周辺には、国の天然記念物で、絶滅危惧種のニホンライチョウが生息しています。この火打山のライチョウは、氷河期からの生き残りでとても数が少なく、この地で静かに暮らしています。妙高市ではこのライチョウを守るための取り組みを行なっています。

    目標金額:1,400万円

    【北海道中札内村】
    十勝の空の玄関口に“エアポートスパ”建設! ~「なぜ十勝」を「だから十勝」に~

    概要:
    十勝地方にはたくさんの観光地がありますが、通過型観光が多いと言われています。「十勝は少しだけ立ち寄る場所」と思われてしまうのは、あまりにもったいないことです。

    十勝でゆっくり過ごすことで、「本当の十勝を知り、好きになってほしい」。プロジェクトでは、空港から車で15分という好立地にある中札内村内のリゾート施設「フェーリエンドルフ」に、温泉施設を建設します。

    「日本で最も美しい村」としての魅力を改めて全国の方々へ発信し、一人でも多くの方に中札内村で時間を過ごしてもらいたい。そう願いを込めてプロジェクトを実施いたします。

    寄付募集期間:2022年4月26日~2022年12月31日(250日間)
    目標金額:1億円



    十勝エアポートスパ そら

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