ふるさと納税クラウドファンディング補助金で新規事業を立ち上げ、自治体の課題を解決

ふるさと納税クラウドファンディング補助金をご存じでしょうか。課題を抱える自治体が解決手段を民間企業と一緒に解決するための補助するもので、「官民連携」「官民一体の取り組み」の新たな手法として注目を浴びています。これまで投資額が大きかったり、実現性という点で補助事業の採択から漏れるなど、諦めていた事業が実現できるチャンスが到来しました。今回は中札内村の例を使って紹介します。

ふるさと納税クラウドファンディング補助金とは?

地域課題の解決やスタートアップ支援など、地方創生と起業家を育てGDPを押し上げるために活用される「ふるさと納税」と「クラウドファンディング」を知らない人は少ないでしょう。

ご存知の通り、ふるさと納税は自治体へ「寄附」するという考えで、応援したい自治体に寄附をすることで、現在住んでいる地域に納めている税金が控除される仕組みです。しかも、寄付をした自治体からは、特産品や工芸品、各種サービスなどの返礼品を受け取ることができ、最近では返礼品の内容で寄付をする自治体を決めることが目的にすらなっています。

一方でクラウドファンディングは、企業や起業を試みる人や団体が、「世の中にない新製品・新商品を開発して提供したい」や「社会問題を解決するために応援してください」といった想いをプロジェクト化して、インターネットを通して賛同者を求め、資金を得る仕組みです。支援者には、開発した新商品やサービスのほか、特別な何かをリターンという形で返礼します。

中でも、地域課題を抱える自治体が解決(使い道を明確化が条件)するために、寄付を募るものが「ふるさと納税型クラウドファンディング」と呼ばれています。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

今回ご紹介する、ふるさと納税クラウドファンディング補助金は、自治体が民間企業や団体・個人などから、地域課題の解決策の提案を募集し、採用した提案を自治体名義でふるさと納税サイトに掲載。支援金(寄付)を使って提案を実行します。提案者には、ふるさと納税の額から寄付の募集や返礼品に要した額を除いた額を上限として補助金として交付されます。

ふるさと納税クラウドファンディング補助金の目的は?使途は?

例えば、北海道十勝の中札内村では、ふるさと納税を活用し、村内での『新規出店』や『事業拡大』を検討する事業者を応援し、企業誘致にもつなげるために、ふるさと納税クラウドファンディング補助金を実施しています。

実施した理由については、これまでもあった「中札内村にぎわいづくり起業者等支援事業(限度額500万円)」では対応できない大規模な事業に対し、ふるさと納税クラウドファンディングを活用し支援しようと考えたそうです。

「中札内村にぎわいづくり起業者等支援事業では、観光施設や工場といった大規模な設備投資が必要な案件には対応できないことがあり、事業者も自治体も多くの案件を諦めてきました。ところが、ふるさと納税クラウドファンディングが普及・浸透したことで、全国から支援者を募ることが可能になり、かかった経費をこれまでの補助金で賄うことで、事業者(民間企業や団体)と一緒に取り組めます」(中札内村)

自治体が主体(実施者)ということもあり、クラウドファンディングで集まった寄附金の使途の内訳は明確にしなければなりません。

【使途の明確化】
クラウドファンディングでいただいた寄附金の使途は、寄附総額の40%が企業への補助金、30%が村の経費(寄附金募集に係る経費、PR経費、村の返礼品の送料ほか)、残る30%を返礼品代金に充てる。

ふるさと納税クラウドファンディング補助金の対象は?

これまで投資額が大きすぎて「無理」「難しい」と諦めていた課題解決のための手段が活用できるとあって、全国の自治体が、こぞって補助金ありきでの「ふるさと納税クラウドファンディング」の提案を受けているようです。ちなみに中札内村の補助対象は以下となります。

①新たに起業しようとする、もしくは事業拡大に取り組もうとしている個人や法人、団体。
②村内に事業所等を設置し、継続した事業活動を行うことができる者。
③国税及び地方税の滞納がない者。
④地方創生(人口増、少子化対策、経済活性化、関係人口創出、地域住民福祉の向上、地場産品の創出等)に資する者。
⑤クラウドファンディングにより、寄附額が目標額に達した者。

上記①~⑤全ての事項を満たす者が対象者となります。

プロジェクトの審査及び採択までの流れは「にぎわいづくり起業者等支援事業」に該当するものであれば準用する。該当しない事業については、金融機関等しかるべき機関へ必要書類を提出し、経営診断を受ける。その他の案件については、都度協議して採択する。同一事業者の複数回制度利用可。とのことです。

ふるさと納税クラウドファンディングのポイントおさらい

地域課題を抱える自治体が解決(使い道を明確化が条件)するために、寄付を募るものが「ふるさと納税型クラウドファンディング」と説明してきましたが、改めてポイントをおさらいしてみましょう。

①自治体が抱える課題解決のため、ふるさと納税の寄附金の使い道をより具体的にプロジェクト化し、共感した方から寄附を募る仕組み。

②ふるさと納税制度を活用しているため、プロジェクトオーナーは必ず自治体。プロジェクト提案した企業が事業主体になることはない。

③地方創生に資する自治体が抱える課題解決を図る事業でなければ採択できない。

④寄附を募るためには、共感を得られるストーリーが欠かせない。

⑤自治体が応援する公益性の高いプロジェクトを応援いただくことで、「寄附者と地方」の関係性を強くし、返礼品目的ではない“中札内村”のファンを増やすことができる。事業開始後は、プロジェクトの進捗状況を寄附者と共有することで本村への愛着形成へつなげていく。

いかがでしたでしょうか。ふるさと納税やクラウドファンディングの補助金を活用すれば、地域課題を解決する手段(新商品・新製品・サービスのほか、社会問題解決方法)を自治体と一緒に事業化できる点が最大の強みとなるでしょう。

現在、中札内村は地域観光の起爆剤となる、これまで欲しかったけれどなかった施設「十勝エアポートスパ そら」のふるさと納税クラウドファディングを立ち上げ、支援者を募っています。是非一度、プロジェクトをご覧ください。

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