そらではたらく

肉や野菜、酪農王国が誇る乳製品も!「食」を通じて、十勝の魅力を広めたい

札幌✕スープカレー、函館✕フレンチ、小樽✕スイーツetc……。肥沃な大地と海に育まれた、おいしい食材の宝庫・北海道。地域ごとに特色ある食文化が息づき、“ご当地グルメ”のひと言では語り尽くせないほど。道内屈指の穀倉地帯を抱え、個性あふれる名店や実力派レストランがしのぎを削る十勝エリアにはこの春、地場食材と道内でも珍しい「冷燻メニュー」を提供するNew Faceが仲間入り。十勝生まれの“新名物料理”を目指して、若きシェフが奮闘しています。

Profile

阿坂 鷹文 | あさか たかふみ
2022年入社・シェフ
1991年生まれ、札幌市出身。小樽商科大学在学中、約1年のスペインへの交換留学を経験。卒業後は一般企業の営業職に就くも、長年の夢だった料理人の道を進むべく一大決心。帯広市内の飲食店で修行を積んだ後、そらに入社。そらが運営を手掛ける十勝・中札内村の宿泊施設「フェーリエンドルフ」における料理部門の責任者として、2023年4月にリニューアルオープンした「Cafe Dinkels(カフェ・ディンケルス)」と近日オープン予定の新レストラン「メルカトル」のシェフを務める。

ここは十勝? それともドイツ? 僕の職場「Cafe Dinkels」を紹介します!

ドイツの休暇村をテーマに、「中札内農村休暇村フェーリエンドルフ」として90年代から営業。2021年に高級志向を叶える“滞在型グランピングリゾート”へと生まれ変わり、東京ドーム約25個分という広大な森で憩いの空間を提供する「フェーリエンドルフ」。その一画に、木々によく映えるレンガ色の屋根が目印の一軒家風カフェ「Cafe Dinkels」が佇んでいます。

以前は、十勝グルメの代名詞・豚丼などを提供するレストランとして営業していましたが、よりリラックスした空間で異国情緒を味わってもらえるようにと内装やメニューを一新し、2023年4月に誕生したのが『Cafe Dinkels』です。フェーリエンドルフに宿泊のお客様には朝食会場としてご利用いただいているほか、ランチの営業も行っています(水曜を除く)。観光の合間の休憩や、テイクアウトのご利用も大歓迎です!」(阿坂シェフ)

フェーリエンドルフ内にはこちらのカフェのほか、温泉やサウナを備えた温浴施設「十勝エアポートスパそら」など個性あふれる施設が点在し、宿泊者以外の立ち寄り利用も可能。緑に囲まれた敷地内をのんびりと散策して、森のなかのリゾート気分を満喫することができます。

「インテリアのテーマは、『ドイツの片田舎』です。少しずつ以前のように海外旅行にも行けるようになりましたが、もっと気ままに十勝・中札内村で“まるでドイツ”な旅気分を味わっていただけるよう、館内の随所に工夫を散りばめています」

人気No.1のハンバーガー「十勝クラシック」。旨さの秘訣は“冷燻”にあり!

リニューアルオープンに伴い、最も試行錯誤を重ねたのが新メニューの考案だったのだとか。十勝産の食材を全面に打ち出しつつも、生まれ変わったカフェにふさわしいオリジナリティを模索。そうしてたどり着いたのが、食品加工業も手掛けるベンチャー企業「そら」ならではのコラボレーションメニューです。

当店の看板メニューは、十勝の地場食材をふんだんに使ったハンバーガー『十勝クラシック』です。見た目はオーソドックスですが、バンズは帯広市の人気店『パンとお惣菜の店ブォーノピアット』さんにお願いした十勝産小麦配合の特注品を使用。みずみずしいレタスやトマト、チーズといった具材も十勝産にこだわっています。もちろん、主役のビーフパテは十勝牛100%。じっくりと炒めてソースに加える玉ネギ、マッシュルームもやっぱり十勝産です(笑)。手間はかかりますが、おいしい食を通じて十勝の魅力を感じていただけるよう、願いを込めて手作りしています」(阿坂シェフ)

食材へのこだわりは十分に理解できたものの、「地産地消」を謳う飲食店なら十勝にいくらでもあるはず。もう少し質問を掘り下げてみると、調理法にもおいしさを引き出すが秘密兵器が!

「当店の向かいにある『十勝冷燻工房』でパテを冷燻(れいくん)加工しています。冷燻とは燻製法の一種ですが、熱による食材への影響を抑えられるうえ、食材本来の旨味に燻製特有の風味と香りが加わり一層おいしく仕上げることができるんです。『冷燻ベーコンエッグバーガー』『冷燻ベーコンエッグ丼』『冷燻チーズケーキ』をはじめ、新たな冷燻メニューも企画中なので、ぜひお試しいただきたいですね」

27歳で料理人に。遅咲きだからこそ、とにかく吸収したくて夢中だった

現在31歳という阿坂シェフ。その若さにして一軒の店を任されるほどのスゴ腕料理人になるとは、さぞ厳しい下積み時代を駆け抜けてきたのかと思いきや……?

じつは大学卒業後は一般企業に入社し、営業職として働いていたので料理人歴はまだ5年目です。子どもの頃から漠然と料理の道に進みたい気持ちはあったものの、大学を出してもらったので新卒の既定路線というか、両親を安心させる仕事に就かなければと考えていました。その会社の2度目の転勤で、たまたま配属されたのが帯広市です。札幌出身の僕にとっては馴染みのない街でした」(阿坂シェフ)

単身、慣れない土地で営業職に邁進する日々。仕事に打ち込めば打ち込むほどに、もう一つの夢・料理人への憧れが膨らんでいったと言います。

自分のなかの料理に対する感情が、もはや休日や退職後の趣味で済むようなレベルではないことに気づきました。20代後半に差し掛かり職場での責任も増えていくなか、違う道に挑戦するなら一刻も早いほうが周囲にとってもいいだろうと思い退職。そのまま帯広市に残って、地中海料理がベースの多国籍バルで料理人としてのスタートを切りました。その店では料理の基礎、固定観念にとらわれすぎない柔軟さなどをオーナーシェフから一対一で教わりました。そこで2年ほど働いた頃、たまたまタイミングとご縁がマッチしてミシュランガイドのビブグルマンに選出されたこともある店へ移ることに。そのお店は十勝の食材と欧州食材を自由な発想で組み合わせた創作フレンチに定評があり、現在の僕の料理スタイルにもなっています

「オーナーシェフのつもりでやっていい」。面接でのひと言で、そらに転職

料理人として働きだした当初から、将来的には独立をして屋台を構えるのが目標だったという阿坂シェフ。いったい何が、若き料理人を“十勝のそら”へと導いたのでしょうか?

「自分の屋台を開く夢を持ちながらも、経験の浅い僕にはまだ先のことだと感じていました。ところがフランス料理店に勤めていたときに、『そら』が開業するレストランで料理人を探していると知人を介して声をかけてもらったんです。正直なところ、いい話だとは思いつつも自分の料理で通用するのかと葛藤がありました。でも、飲食店の立ち上げに関われるチャンスなんてそう滅多にないですし、経営陣には『そらの社員ではあるけれど、自分が起業したつもりでやっていいんだよ』と後押しをしてもらって。ここで断ったら一生後悔するぞ、と自分を奮い立たせてそらで働くことを決めました。さまざまなめぐり合わせで、夢の実現を前倒しできたことに感謝しています」(阿坂シェフ)

ちなみに現在、阿坂さんが働く「フェーリエンドルフ」では「ディンケルス」「メルカトル」両店舗にてスタッフを募集中とのこと。気になる方は下記「TCRU(ティクル)」を見てね!」

十勝フレンチを提供するレストランをオープン予定。駆け足で夢の階段を上へ

そらに入社して約1年が経ち、さまざまなアイデアがカタチとして実現していくことが何よりも嬉しいと笑顔をのぞかせる阿坂シェフ。今後の目標についても尋ねてみました。

基本設計から厨房のデザインや内装・インテリア、メニュー開発にワインの選定に至るまで、ゼロから携わってきたお店のオープンがようやく見えてきました。十勝食材が主役のフレンチをベースに、国内外の食材やアレンジを組み合わせたコース料理をお出しする予定です。目下の目標はこのオープンに向けて、『十勝の食材で表現の幅をさらに広げていくこと』。行動制限が減って、夏以降のオフシーズンにも、食を通じてこれまでと違った新しいおもてなしをしていけたらと思います。僕の料理で楽しい時間を過ごしてもらえたら最高ですね!

ちなみに現在、阿坂さんが働く「フェーリエンドルフ」では「ディンケルス」「メルカトル」両店舗にてスタッフを募集中とのこと。気になる方は下記「TCRU(ティクル)」を見てね!」

阿坂さんが働いている株式会社そら・フェーリエンドルフは以下から

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