十勝を紹介

北海道中札内村の地方創生がすごいんです。

北海道中札内村をご存知でしょうか。人口約4000人の村ですが、ひとつのプロジェクトでふるさと納税1億円の支援を受けたり、美術館がいっぱいあったり、自然の恵みだけじゃない魅力が満載なんです。地方創生が半端ない中札内村をご紹介します。

北海道中札内村の基本のき

中札内村は十勝平野の南西部に位置し、日高山脈中央部を源とする清流「札内川」の流域に広がる村です。主要産業は農業で、寒冷型の畑作と酪農、畜産を主体とした生産性の高い農業が営まれています。広大な耕地には、主要作物であるじゃがいも・甜菜(てんさい)・豆類・小麦に加え、枝豆などの野菜の作付けも増えており、安定した輪作体制が整っています

人口:約4000人
家族(世帯数):1500世帯強
外国人:20人くらい
子ども(15歳未満):500人くらい
働いている人:2000人強
65歳以上の人:1000人くらい

数字で見ると普通の村です。思ったよりも子どもが多いかなと感じます。あとは何がすごいのでしょうか。次からはその凄さを少しずつ明かしていきます。

どうして?北海道中札内村には美術館が8軒もあるんですか

人口4000人の小さな村が北海道中札内村です。にもかかわらず、美術館が8軒以上あるんです。中札内村の村役場のひとに聞きました。

https://media.soratokachi.com/wp-content/uploads/2022/09/sorato_0102.png
SORAto

「どうしてそんなに美術館があるんですか」

「理由の一つにNPO法人日本で最も美しい村連合に加盟しているからです。本村では、1992年から住民を交えた景観づくりに取り組み、2001年に十勝管内で初めて景観条例を策定しました。また、全国絵画公募展「北の大地ビエンナーレ」や「花いっぱい運動」での住民参加の取り組みが評価されたんです。そうした景観と文化活動が実を結んだのが、145,000平方メートルという広大な敷地内に美術館やレストランが点在する中札内美術村でしょう」

https://media.soratokachi.com/wp-content/uploads/2022/09/sorato_0102.png
SORAto

「もう少し具体的にお願いします」

「お菓子メーカーの六花亭さんをご存知でしょうか。六花亭さんが本村で文化活動をされている点も大きいですよ。六花亭アートヴィレッジ 中札内美術村と六花の森については以下を御覧ください」

「六花亭アートヴィレッジ 中札内美術村」

2017年春にオープンした季節の彩りが美しい美術村庭園が、六花亭アートヴィレッジ 中札内美術村です。春の新緑、秋の紅葉。山もみじのトンネルを抜けた先には真野正美作品館が建ち、近くには多くの美術館が点在します。2020年「六花亭アートヴィレッジ 中札内美術村」は公益社団法人企業メセナ協議会による顕彰事業のひとつ「This is MECENAT」に認定されたそうです。

相原求一朗美術館
小泉淳作美術館
真野正美作品館
安西水丸作品館
百瀬智宏美術館
小川游作品館
北の大地美術館

「六花の森」

十勝六花(エゾリンドウ、ハマナシ、オオバナノエンレイソウ、カタクリ、エゾリュウキンカ、シラネアオイー)をはじめ四季折々の山野草が咲く園内にクロアチアの古民家を移築したギャラリーが点在するのが六花の森です。

坂本直行記念館
直行山岳館
直行デッサン館
花柄包装紙館
サイロ歴史館
サイロ表紙絵館
直行絶筆館

ご存じの方の多いでしょう。六花亭の「花柄包装紙」は、北海道の自然画家・坂本直行さん(坂本龍馬を祖父の叔父に持つ坂本家の末裔)が手掛けています。 そんな坂本さんの世界観を体験できるのが六花の森です

本当に? 1件のPJで1億円も集まる中札内村のふるさと納税

猫も杓子も「ふるさと納税」な日本ですが、ご多分に漏れず中札内村も頑張っています。2022年12月末には、ふるさと納税型クラウドファンディングで1億円の寄付を集め、一躍有名にもなりました。

そのプロジェクト(PJ)とは、地方創生ベンチャー・そら(帯広市、米田健史社長)が、中札内村に2022年7月に開設した温浴施設「十勝エアポートスパ・そら」建設のため進めてきた村のふるさと納税型クラウドファンディング(CF)を活用した応援プロジェクトで、目標の1億円の寄付金額を期限内に達成したんです。

これってすごいことなんです。掲載した納税サイト「ふるさとチョイス」での部門別(新産業・地方創生)で最高額。

「十勝エアポートスパ・そら」については以下の記事をお読みください。


移住者の決め手は北海道中札内村の農村原風景

4000人の村には、世界を魅了する観光資源がいっぱいあります。まさに地域創生が実現しつつある村なんです。だからこそ、集まるのが「ひと」です。総務省がまとめた今年1月1日現在の人口動態(2022年)によると、中札内村は転入が転出を上回る社会増に繋がりました。しかも4年連続です。

東京から北海道中札内村へ地方移住した、とある夫妻はこう話します。

「どこまでも続く美しく並べられた畑の地平線とその奥にそびえる日高山脈のシルエットはまるで絵画のようなんです。十勝に降りたち、車を走らせている中で、『ここだ!こここそが北海道だ』と決めました」

現在、夫婦は地域おこし協力隊を卒業し、中札内村でアウトドア事業を展開する会社を起業。奥様はソムリエとチーズプロフェッショナルの資格を生かして、ワインショップを営まれています。

他にも、多くの移住者が「移住の決め手は」と話すのが中札内村に広がる風景です。

十勝平野に広がるパッチワーク状に整備された畑や、耕地に植えられた防風保安林などは、誰もが「北海道の農村原風景」として思い浮かべるイメージそのもの。

中札内村は、牛乳、養豚、養鶏、いも、てんさい、豆類、小麦を重点作物とし、家畜のふん尿を畑に還元する循環型農業を進めてきました。

この耕畜連携した体系によって、生きた土で安全・安心な農産物が生産されるほか、輪作体制が確立されることでパッチワーク状の畑が整備され、美しい風景の一部を形成しています。

また、景観条例等に基づいて、使用していない家屋の管理や耕地防風林の維持等、農業を営む上で快適な環境をつくるとともに、美しい農村原風景を形成する一部として保全・整備を進めてきました。

開拓時代から長い時間をかけて育んできた農業の営みを発展させながら、美しい農村原風景の保全・整備に取組んできたことで、見る人に感動を与える村ならではの風景となっているそうです。

そして、住んでみると豊富な食、美術村といった文化活動、前述のふるさと納税しかり、小さな村にも関わらず起業(挑戦)風土が整う稀有な地域に気づき、「ここ(中札内村)で何かをはじめよう」と思わせるのだと言います。

いかがでしたか。北海道中札内村の凄さと魅力が伝わったでしょうか。次は中札内村の村長さんに中札内村の将来について伺いますので、お楽しみに!

関連記事

TOP