「神戸」「松阪」「飛騨」など地域名の付いたブランド牛が数ある中で、今回は北海道和牛と十勝和牛のお話をします。意外かもしれませんが、北海道は米と “食肉用の牛”を日本で最も生産する地域です。量は質を凌駕するという言葉通り、昨今の北海道産和牛は本当に美味しいんです。※ 2022年度のクラウドファンディングは終了いたしました。たくさんのご支援をいただき、ありがとうございました。
北海道は肉牛生産でダントツの1位
お米の産地と聞けば、新潟をはじめとする東北を指す人が多いと同じで、美味しい牛肉の生産地といえば、神戸や松阪のほか、西日本地域をイメージする人が多いかと思いますが、生産量では北海道がダントツの1位なのをご存知でしょうか。
四季を通じて湿度の少なさと適度な気温を保つ北海道は、豊かな自然と広大な土地によって栄養豊富な良質の牧草を作ることができます。
メリットを生かして、今では肉牛の飼育頭数が圧倒的に日本一なんです。ちなみに、日本国内で飼養されている肉牛は、およそ260万頭。そのうち、最も飼養頭数が多いのが北海道で約52万頭、全体の21%を占めています。次いで鹿児島の34万頭(同13%)、宮崎の24万頭(同10%)、熊本の13万頭(同5%)と続き、上位4道県で全体の約5割を占めています。しかも、北海道は畜産農家一戸当たり飼養頭数が約200頭で、全国平均の約50頭をはるかに超える約4倍。まさに“肉牛王国北海道”です。
※農林水産省(2020年)データ参照
肉牛王国だからこそ誕生した北海道和牛
肉牛王国北海道ですが、数十年前までは牛肉を食べる習慣のない地域で、肉といえば食卓にあがるのは豚肉でした。とはいえ、それも過去の話。前述したとおり、現在は多くの肉牛が育てられ、日本の牛肉の供給源として、日々、美味しい牛肉生産に研鑽を積んでいます。
ここで問題です。焼肉を食べているときやスーパーマーケットで、国産牛、和牛、黒毛和牛、ブランド牛の文字をみかけませんか?多くの人は、牛肉といえば黒い風貌の牛をイメージしているはずです。ところが、皆さんが口にする牛肉にも多くの種類が存在するんです。
詳しくは【日本にいる牛の種類、皆さんは全部言えますか?酪農・肉牛どちらも紹介します!】の記事をご覧ください。
例えば、国産牛と書かれていても、実は牛乳のもととなる生乳を生産する白黒模様のホルスタインだったり、ホルスタインと和牛をかけあわせた交雑種(F1)であることが多いでしょう。簡単にいえば、国産であっても和牛という品種ではないということ。
和牛といえば、鮮やかな赤身に乳白色の脂肪が霜降り状、いわゆるサシが入り、口に入れると舌の上でとろけるような柔らかさが特徴的な黒毛和牛が代表です。日本を代表する牛肉、神戸牛、松坂牛、飛騨牛、山形牛などが黒毛和牛にあたります。
ここで、勘違いしてはいけないのがブランド牛は黒毛和牛とも限らず、交雑種やホルスタインであってもブランディングされていれば、国産ブランド牛として流通していることもあります。
閑話休題。黒毛和牛の話でした。
黒毛和牛は、すぐれた資質を持つ血統ある銘柄牛としておいしさ、柔らかさ、食感において最も高く評価され、和牛の中でも最高級和牛の代名詞となっています。
当然ながら、日本ナンバーワンの肉牛生産量を誇る北海道でも、多くは市場で高値で取引されている和牛、なかでも黒毛和牛を生産。北海道産の黒毛和牛の総称として「北海道和牛」というブランド牛として流通されているんです。
最近では、「北の大地で高まる美味さの極み」というコンセプトで「北海道和牛」(商標登録第4523585号)が生産され、実に約52万頭のうちの4割近くの約19万頭が北海道産の黒毛和牛、つまりは「北海道和牛」として世に流通しています。
北海道和牛の優等生「十勝和牛」
日本でダントツの肉牛飼養頭数(全国シェア約4割)を誇る北海道ですが、そのうちの約4割を飼養しているのが農業王国と言われる十勝です。十勝は食料自給率が約1300%と言われ、日本の食糧庫とも呼ばれる農業王国ですが、畑作のみならず畜産業も盛んで、肉牛の飼養頭数は約19万頭。前述した通り、北海道全体の4割を占める一大肉牛生産地域なんです。ただし、そのほとんどがホルスタイン種の雄肥育牛とホルスタイン種と黒毛和牛を掛け合わせた交雑牛(通称F1)を含む乳用牛が大半。
最高級和牛である黒毛和牛の肥育は約5%の約5000頭に過ぎません。そして、今回の記事の主役である「十勝和牛」として出荷される黒毛和種は、年間1600頭ほど。つまりは、地域名が付いているものの生産者は限りなく少ない、貴重なブランド牛なんです。
十勝和牛の定義を見てみましょう。
十勝和牛は「北海道生まれ、十勝育ち」の黒毛和牛で、十勝晴れと呼ばれるほど日照時間が長い風土で育った美味しい牧草や麦わらを中心に質の良い飼料などをたっぷりと食べて育っています。粗飼料は十勝産乾草と麦わらを、濃厚飼料は高品質で高価なビタミンCを添加した肥育飼料を与えているそうです。
そして、一頭一頭を大切に、培った肥育技術と細やかな管理により、28ヶ月~32ヶ月間育てることで、胸を張って十勝和牛と言える肉質となった黒毛和牛です。特徴としては、黒毛和牛のイメージである霜降り肉のわりには、さっぱりとした肉で、脂身を強く感じることがないです。
他にも、十勝和牛の条件としては品種が黒毛和種であり、前述の肥育方法で育てた上で、十勝和牛振興協議会に公式に認定されている肉牛生産農家が育て、ホクレン十勝枝肉市場に上場した肉であることが挙げられます。
十勝和牛の歴史と美味しさの秘密
十勝といえば、和牛よりも乳製品のイメージが強い通り、酪農が盛んな地域です。肉用の和牛が導入されたのは1951年に遡ります。北海道の歴史は開拓の歴史で、和牛も開拓民によって導入されたと言います。
北海道のふるさと納税で人気が集まっているのが産地直送のチーズです。中でも、日本の生乳(牛乳や乳製品の原料)生産の約2割を担う酪農王国十勝の新鮮な牛乳から作るチーズが人気です。今回は十勝の自慢のおいしいチーズ「十勝野フロマージュ(十勝中札内村)」をご紹介します。
時は流れ、1973年に肉牛生産を行う畜産農家が集い、十勝和牛振興協議会を創設。そこから十勝における和牛の品質改善がはじまります。冒頭で、牛肉を食べる習慣がなかったと書いた通り、それまで十勝では乳牛を育てる文化の方が色濃く、肉牛の価値はそれほど見出されていなかったからですね。
それが、十勝和牛振興協会の活動によって少しずつですが品質改善が図られてきたことで、現在のようなブランド価値にまで成長してきたのです。
そうして現在に至るのが十勝和牛ですが、他にも、“十勝晴れ”と呼ばれる長い日照時間と良質な牧草を生産できる広大な農地、地場でとれた飼料で還元するという耕畜連携型の牧畜ができるのも「十勝和牛」の品質を高める重要な役割となっているそうです。
長年、十勝和牛を育ててきた肥育農家さんは言います。「全国に多く生産される黒毛和種であることは変わらず、差別化は難しい。大切なのは肉質をどう高めていくかです。子牛の段階で丈夫な胃と骨格を作り、良質な飼料を与えて、一頭一頭違う牛の性格や成長度合いに合わせて肥育するかで差をつけるしかありません」。
牛がストレスなく、気持ちよく育てる環境が整う十勝。そして、質と量を兼ね備えた日本トップクラスの農産物を生産する十勝だからこそ、最高品質の餌を食べさせることができるのです。そうして育つのが十勝和牛であり、豊富な霜降りでありながらさっぱりとした味わいを感じる肉となるのです。
北海道和牛の中でも希少な「十勝和牛」は、ふるさと納税の返礼品で味わえます。
肉屋のプロ厳選!十勝和牛ローススライスは、すき焼きやしゃぶしゃぶにおすすめです。是非とも、なめらかでとろけるようなお肉の味わいをお楽しみください。
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