そらの魅力

【記者会見 全文】藤丸再建の進捗で株式会社そら 米田健史社長が説明

2023年1月に閉店した帯広の藤丸百貨店の再建に向け、藤丸株式会社(村松一樹社長)と資金調達を担う株式会社そら(米田健史社長)が、12月20日に記者会見を行いました。

【記者会見の様子は以下動画をご覧ください】

現建物を解体し、新施設を建築するまでの時限的な施設「藤丸パーク(2025年夏頃オープン予定)や2030年開業を目指す新施設の具体的な構想を説明したほか、藤丸再生プロジェクトを応援・推進する仲間を募集している「藤丸サポーター」の状況を共有。すでに、地元住民や企業から約1億6千万円を超える寄付が集まり、着実に支援の輪が広がっていることも伝えられました。

また、総合不動産業大手のオープンハウスグループ(東京都、荒井正昭社長)が先日発表した、株式会社そらが展開する十勝を中心とした地域共創事業への総額100億円の寄付(2030年まで)の表明についても言及しました。

特に今回の記者会見では、株式会社そらの米田健史社長から藤丸サポーター制度についての設立意義や、藤丸再建のこれまでの経緯が詳しく説明されたので以下全文掲載いたします。

株式会社そら 米田健史社長コメント全文

藤丸の灯火を消さない

2022年3月、旧藤丸(藤本社長)と帯広信用金庫から「来月には資金が不足する」という切実な相談を受けました。そのような厳しい状況の中、関係者の皆様から多大なるご協力をいただき、突然の倒産を回避し、私的整理という形で事態を収束させることができました。当時の状況を振り返ると、それはまさに奇跡の連続が生み出した成果でした。もし私的整理が実現できなければ、藤丸の建物は長期間放置され、廃墟化を避けることは難しかったでしょう。

当時の藤丸はいくつかの問題を抱えていました。8期連続赤字という苦しい経営状態の中で身動きが取れない状況。金融機関もこれ以上貸せないという厳しい条件下でした。さらに、倒産を予告することはできず、突然倒産するとなれば、まず従業員が職を失い、退職金や未払い保険料などの労働債務を支払えなくなる恐れがありました。

また、取引先にも支払いができず、地権が複雑だった土地建物の問題も未解決のままになる可能性が高かったのです。誰も手出しができない状態で長期間、建物が放置されて、解体することも出来ず、いつか競売にかけられるのを待つしかない。街中の中心部に、そのような建物が放置されて廃墟化していく未来までが見えました。

このような状況下で帯広信用金庫が状況を打破するための選択として「そら」に声をかけてきたのです。私自身も、起業前に野村證券で全国47都道府県を回り、各地域で似たような課題が存在することを目の当たりにしてきました。廃墟化した建物が放置され、手の打ちようがない状況を理解していたこともあり、この案件の重要性を強く感じていました。

悩みに悩んだ上で、当時帯広信用金庫の部屋で答えた言葉をそのまま伝えますと、「もしロケットのインターステラテクノロジズ株式会社(IST社)の稲川社長から、資金調達を手伝ってくれないかと言われれば、おそらくできることはあります。でも、ロケットを作ってくれと言われても絶対にできないです。百貨店を再建してくれと言われても僕にはそのノウハウは何もありません。

ただ、このタイミングで最後の最後にそらに声がかかったということは、お金に関する諸問題を解決することを期待されているということだと理解します。それを託されるならば、やります」との言葉でした。

こうした経緯があり、現在は帯広信用金庫からは藤丸パークの土地をそらで借りることとなり、今後は帯広信用金庫と、地域共創に関する連携に向けた協議を開始することを検討中であります。

私的整理とその後の取り組み

私的整理にあたっては、多くの関係者の方々にご協力をいただきました。メインバンクの北洋銀行や帯広信用金庫をはじめ、地権者やテナントの皆様、従業員の職斡旋に尽力してくださった十勝の経済界や行政、報道関係者の皆様など、多くの支援がなければこの成果は実現できませんでした。

藤丸再建を引き受けた2ヶ月後の2022年5月には、オープンハウスグループの荒井社長と面会。その際、「そらの地方創生は理念が本物だ。協力できることは全面的に応援する」との言葉をいただき、地域共創の理念に基づき、同社から大規模な寄付と支援の約束を頂戴しました。その後、藤丸再建にほぼ全ての力を割かれている中で、既存事業の応援のためとして、そらがグランピング事業を営む中札内村に荒井社長個人で累計1億7000万円の寄付をいただきました。

そして、今回、そらの事業やそらが事業に取り組む地域に対て、100億円規模の寄付による支援の決定をオープンハウスグループから頂戴したことは、既報の通りです。何より、実績と資金力のある会社が全面的に応援の姿勢を取って頂いているということも、強い後押しとなっております。

さらに、2022年12月には藤丸株式会社を設立し、村松さんが代表として新しい藤丸の姿を考える形となりました。村松さんが代表を引き受けて下さったことで、藤丸株式会社がより世の中にひらかれたプロジェクトとなったこと、地域からの安心感を得たこと、私が私的整理の決着と資金戦略面に特化して動き続けられたことにつながりました。

私的整理に着地し、新たな藤丸へ

私的整理後、藤丸パークの設置や藤丸建物の解体には、約30億円の資金が必要とされています。「藤丸パーク」は仮設商業施設として、地域の皆様と共に未来を創るスタート地点となります。この施設を足がかりに、地域の皆様のご協賛・ご寄付を得ながら、藤丸を未来へ繋ぐ新たな道を共に切り拓いていきたいと考えています。

藤丸再生プロジェクトの仲間を集めたい

新しい「藤丸」は、百貨店としての姿を取り戻すことよりも、地域住民や応援していただける方々と一緒に創り上げていくことを重視しています。まずは「藤丸パーク」を皆様と一緒に創り、盛り上げ、2030年開業予定の「藤丸」につなげたい。本プロジェクトに共感頂ける方々と繋がりたい。そんな想いで、藤丸サポーター募集に至りました。

資金の主な使い道

藤丸新設予定までの約5年間藤丸の未来を一緒に考え・育てていく場所、仮設商業施設「藤丸パーク」を設置するための造成費に皆様の協賛金を活用いたします。資金がパーク造成に要する費用を上回った場合は、新藤丸開業に向けて活用させていただきます。

▶︎ 藤丸パーク造成費用(2.5~3.5億円)

・土地賃料、土地整備、トレーラー購入、インフラ整備、施設維持など

▶︎ 新藤丸開業に向けた費用

・解体費、建設費など

※私的整理~解体完了までは約30億円の資金が必要となります

藤丸サポーター制度について

この度、藤丸サポーター制度で回っている中で、協賛者様から最も多くいただいている声は「私的整理で着地したことが素晴らしい」「解体できることは本当に画期的」という内容です。協賛金額はご入金いただいたベースで記載されておりますが、お申し出ベースでは、相当数の協賛のお申し出をいただいております。

藤丸パーク年間8万人来場を目指す

その後、会見では藤丸株式会社の山川知恵取締役から「藤丸パーク」の概要とテナント募集について説明。年間来場者8万人、売上高1億円を目標とし、毎週のようにイベントを開催することで集客を図ります。

藤丸パークは、帯広信用金庫所有の旧農協連ビル跡地に、設置する新しい商業施設です。施設はトレーラー仕様のショップ5店舗、芝生エリア、ステージ付きイベントスペース、ドッグラン、駐車場などを整備予定。来年7月のオープンを目指しています。

施設の概要

ショップ構成:藤丸直営店(食・物販)が2店舗、十勝・道東の食材を使った飲食テナントが3店舗(来月中旬から公募開始)。

規格:1店舗あたり9m×2.5mのトレーラー型。設計施工は本別町の「KOYA.lab」などが担当。

イベント計画

開催頻度:毎週末を基本に、ダンス、映画祭、マルシェ、ビアガーデン、全国食の物産展など多彩な催しを実施予定。
冬季休業:12月から3月まで閉業。
地域連携:十勝バスと連携した「マルシェバス」による十勝産野菜の販売も計画。

入場無料で、地域の魅力を発信する場として期待されています。


また、2030年開業を目指す「新藤丸」の協力事業者向けに新冊子を制作。最後に藤丸株式会社の村松社長は「新藤丸開業は必ず成し遂げる事業です」と意気込みを語り、会見を締めくくりました。

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