世界で唯一のばんえい競馬が行われる「ばんえい十勝」場内にある観光交流複合施設「とかちむら※」。この魅力あふれる施設が、ふく井ホテル(林佑太社長)によって新たな息吹を吹き込まれることになりました。改めて事業承継の経緯と今後の展望について、林社長にインタビュー。「とかちむら」はどう生まれ変わるのでしょう。(取材・編集:スマヒロ編集部)
「とかちむら」の未来を託されたふく井ホテル——事業承継の背景
体重1トンを超える馬が重りをのせた鉄ソリを引いて直線コースで力とスピードを競う、世界でたったひとつのばんえい競馬。「とかちむら」は、ばんえい競馬場に隣接する観光交流複合施設として、2010年に開業しました。とかち産直市場や飲食・カフェゾーンなど、多彩な魅力を持つこの施設は、十勝のにぎわいを創出する拠点として、観光客のみならず地元住民から愛され続けています。
しかし、近年、運営を担っていたSPCとかちむら(曽根史子社長)が経営に注力できない状況が続き、事業承継の必要性が高まっていたそう。そこで、とかちむら側は、中札内村のグランピングリゾート・フェーリエンドルフとふく井ホテルを事業承継し、藤丸百貨店の再建支援にも関わる株式会社そらに事業承継を相談。グループ会社である「ふく井ホテル」がそのバトンを受け継ぐことになったのです。
「まさかの光栄」——林社長が語る事業承継の経緯
事業承継についてふく井ホテルの林社長は「まさか、自分たちが『とかちむら』を引き継ぐことになるとは思いもしませんでした」と語ります。同社が事業承継の話を受けたのは、前述した通り、同社グループが十勝の地方創生に貢献してきた背景がありました。
「SPCとかちむらの主要株主である株式会社ネクサスさんとは、フェーリエンドルフの新VIPコテージ(プレジデンシャルスイートコテージ・プリンセススイートコテージ)や冷燻工房の建設といったプロジェクトを通じて接点がありました。また、曽根さん家族はふく井ホテルを長くご利用いただいていたご縁もあり、『とかちむら』の事業承継の話を頂戴しました。こんなに光栄なことはありませんよ」(林社長)
その後、そらグループとして、じっくりと検討した上で、この大きな責任を引き受けることを決意したそう。
「新しい展開への期待」——林社長が描くとかちむらの未来
今後、ふく井ホテルがSPCの全株式を取得した後、新社長に林氏が就任予定で、全従業員(パート含む)18名の雇用は継続します。
「とかちむらは、ポテンシャルしかない施設です。まだまだ可能性がたくさん。まずは働いているスタッフの皆さんとともに、とかちむらの現状について整理しつつ、新たな展開を模索して行きたいです。ひとつ取り組んで行きたいこととしては、とかちむらを食品やお土産を買う場所という役割だけではなく食を楽しむ場所という役割を強くして行くことです。現在もテナント様が入っていただいており、食体験が出来る部分はありますが、もっともっととかちむら全体でその色を濃くして行きたいと考えています」(林社長)
また、林社長はとかちむらの産直市場について「ふく井ホテルのスタッフの中には毎日利用している人がいるほど、とかちむらの産直市場は鮮度良し・質良し・価格良しの素晴らしい生鮮品が置いてある場所です。観光客だけではなく、地元の人々も足を運ぶ場所です。この魅力をもっと発信し、多くの人に利用していただきたいです」と力を込めます。
「地域のシナジー効果を最大限に活かす」——そらグループとしての展望
そして、林社長は、そらグループの一員として、帯広・十勝の観光資源を連携させることに大きな期待を寄せます。
「私が代表を務めるふく井ホテル、そしてそらグループのフェーリエンドルフは、毎年多くの観光客が訪れる宿泊施設です。そして、それに今回話をいただいた、帯広観光地の象徴とも言える『とかちむら』が加わることによる相乗効果は計り知れないものと考えています。例えば、ふく井ホテルの豊富なモール温泉を活用して、ばんえい競馬を観戦に訪れた観光客の方々に足湯を楽しんでいただくことも考えています。いろいろなアイデアが次から次へと浮かんできて、ワクワクしていますよ」(同)
すでに、空きテナントについて問い合わせも入っている「とかちむら」。今後について林社長は、関係各所と連携し、地域全体の発展に寄与することを目指しつつ、「どうしたら十勝のためになるかを考え、進めていきたいですね。グループを通して我々が常に掲げる“十勝に人とお金を呼び込む”を柱に、十勝の観光を支える拠点として、新たな進化を遂げていかせますよ」と意気込みます。
進化を遂げるための人材求む!
新たな事業承継に挑む地域共創企業「そらグループ」では、フェーリエンドルフ、ふく井ホテルなどで人材を求めています。十勝の未来を切り拓くには、多くの人材が必要です。そらと共に地域共創に挑みませんか?